よろめき食い道楽記

日々見つけたオイシいもんのことを語ります

シオン [寺町押小路]

幻と幻のまぼろしを行き来するカレーの世界

【初訪問:2011年9月】
このお店の事を知ったのはかなり前の事でしたが、伺った時に開いていなかったりしたことが何度か繰り返す間に忘れてしまいました。しかし偶然にネット上で情報を見つけ、また食べログでも一件だけひとりめし様のレビューが上がっていました。最近東京から大阪に来られた、元京都在住で旧くから存じ上げているレビュアー様です。これはタイミングを見て行くべし、と、営業日時を狙って伺いました。場所は寺町押小路上る、市役所の裏北側で、食べ物屋さんが多い辺りです。定休日には閉まっていたビルのガラス扉が今日は開いていて、立て看板がでていました。ランチは木から土だけの営業です。古い雑居ビルの階段を登ると、やはりお店の看板がありました。それに励まされて3階まで登ると、店名の看板と重そうな扉があります。これを開けるのはちょっと勇気が必要ですが、そのまま店内に入りました。

目の前に立つハンガーと、それに帽子や鞄が無造作にかかっています。どうやら廊下の端の様で、左の奥に店舗がある様子。あまり人の様子が無いので「こんにちは」と言いながら、たくさんのマンガや古い雑誌が壁際の本棚に並んでいるところを横目に奥へ。かなり昔の学生街で溜り場になっていたバーの様な感じではないか。今となってはほとんど絶滅したようなお店が、何故か街中にあります。もちろん今の時代ですから、不思議なアジテーション的ムードは全く無くて、カレーに対する期待のみが私を突き動かします。一番奥の右手にキッチンカウンターに6、7席、左にはテーブルでなく小上がりのテーブルです。テレビや本等、こちらにも所々に見えたり(=散らかっていたり)します。この古く、今となってはレトロで新鮮なスペースの案内人は、私よりも若干お若いか、と思う女性お一人です。今は普段着ですが、夜になればバーのママらしい格好になるのかもと思って少し鼻の下を伸ばしつつメニューを拝見。ボードにはこちらに伺う目的となったカレー、それにハンバーグランチというメニューが表示されています。ただハンバーグに関しては、日によっては用意できないことがあるというお断りがあります。

○幻カレー、幻のまぼろしカレー 半々(普通サイズ 600円、中盛りにしたため700円)
ごはんのサイズは普通、中盛、大盛がありますが、大盛をお願いしたらまずお皿にご飯をよそって「これで中盛なんです」と言われました。他店では堂々の大盛りサイズなので、的確なご配慮に謝して中盛でお願いしました。
こちらは「幻カレー」(500円)、それに激辛という「幻のまぼろし」(600円)があります。いろいろ試したい私の様な者に嬉しい、それぞれのルーが半分ずつのメニュー「半々」があります。二つの配合割合を替えながら、色々な辛さを試す事ができる楽しみのあるメニューです。それが手元に届くと同時に、お盆一面に漬物や酢の物の小鉢が並んだものを横に置かれました。10種以上、自由に取れます。これは嬉しいサービスで、遠慮なく好きな物を食べたいだけ取り、後のお客さんに引き継ぎました。
ルーはどちらもとろりとしたタイプで、具材は全て溶け込み固形物は見当たりません。「幻」は甘さの後にスパイスの辛さが少しやってくる、手作りカレーの上等品という感じ。さて、「幻のまぼろし」は本当に辛く、強烈な唐辛子味が舌を刺します。他の味と合わさった結果なのか、豆板醤の様な香りさえ感じます。辛いものが本気で大好きな人は最初からいけるでしょうが、私の程度では慣れないと楽しめないという辛さでした。で、この二つが接している場所辺りから量比を色々と変えて混ぜ合わせ、幻と幻のまぼろしの間を行き来しながら味わいました。半分ずつでも普通の辛口ぐらいのインパクトがありますので、半々でも辛い物が好きな人向きと言えるでしょう。件の豊富な漬け物などを口直しに、すっかり堪能しました。

淡々とした応対ながら、色々と配慮をしていただいたママ。おいしいカレー、確かに行ったと思いますが、今になったらちょっと記憶に自信がありません。先日定休日に前を通ったら、どの場所だったか判らなくなってしまいました。幻を捕らえ続けるのは、なかなか難しいことかもしれません。気になった方、私が見たものが本当だったのか否か、確認いただければ嬉しいです。

最後に、幻を見たパイオニア、ひとりめし様に感謝です。

【店舗データ】
シオン
075-222-0025
11:30〜14:00(木、金、土曜日) 20:00〜28:00
定休日 無休(ランチは木、金、土曜日のみ)
京都市中京区榎木町99-3 岡ビル 3F

レビュー(食べログ)