よろめき食い道楽記

日々見つけたオイシいもんのことを語ります

(閉店)天津閣 [烏丸今出川]

ランドマークの昭和的中華そば店、カウントダウンも終了

*お断り:すでに営業は終了されています。
【初訪問:2011年10月】
役所やホテルなどのランドマークではないけれど、多くの人が「ああ、あそこね」とか「確かに有った様な気がする」と認識するようなものって、ある様な気がします。特に大きな交差点の角など。そういうつもりで烏丸今出川の交差点を思い浮かべていただければ、南西角あたりにこちら天津閣の建物の存在を認識できる方も居るでしょう。ショーワな雰囲気のラーメン店で、同志社大学のお膝元という場所柄、永らく学生の胃袋を満たしてきたのだろうと想像します。それ以上の興味を持つことも無かったのですが、何かブログなんかでこちらの閉店の噂を聞きました。しかし、それ以上の噂にはなっていない様です。ここから上がったいもねぎのお店が閉店のときは、OBが久しぶりに訪ねてくる様子などがニュースになったりしていたのに。この疑問が、思い出も、思い入れもなく、伺ったこともない。ただ、その風景を見知っているだけ、の私が、何故か閉店前に行っておこう、と考えるきっかけだったような気がします。

お昼時に一人で伺うと、なんとも店舗が小さいです。二人用だけど二人なら狭く感じるテーブルが入り口から右手へ4卓。左手奥の厨房では、白髪のおっちゃんが高下駄で調理担当です。その手前、店舗側で女将さんが配膳と餃子を担当しています。とても大きく深めの丸い餃子用鉄板が印象的。メニューは非常にシンプルで、基本は中華そば、焼き飯、餃子の3種だけ。あとはチャーシューのトッピングとか、サイズとか、焼き飯に付けるスープ、などのオプションものです。お腹が空いていたので、たっぷりと食べましょう。

○中華そば(500円)
鶏ガラスープの醤油味、という昔ながらの中華そばです。中太いの麺は柔らかめ、チャーシュー、海苔、九条葱の小口切りがトッピングでした。チャーシューが柔らかく、甘い風味(恐らくショウガ)も大変好ましいです。初めは美味しく感じたスープですが、最後は正直なところ少し疲れてきました。
○焼き飯・小(500円)
小、といえども、かなりの量。他のお店では、恐らく普通盛ぐらいあります。盛りだけでなく、料理自体も他店とは違います。味は塩コショウですが、具が肉、タップリめの九条葱、みじん切りの人参、玉葱です。肉は薄くて細かく切ってありましたが、恐らく牛。ごはんはペッタリで甘辛の仕上がり、家庭で弱火のコンロで焼いた時の焼き具合です。タップリの油と卵で中華鍋で炒める、という中華の炒飯で常用される方法と食材を使わず、大きなフライパンを腰を据えて振っておられました。

他のお客さんが頼んでおられた餃子は、結構な大きさのものが10個で400円、これは値打ちに見えました。今回伺った限りでは中華そば、特にスープの前半とチャーシューが良かったです。常連さんとの会話が聞こえてくる限り、11月(2011年)いっぱいで終わるお店について特に気負う事無い感じです。日々のお客さんを迎えつつ、閉店後の生活を楽しみに待たれている様子さえ伺えました。先客様もほとんどが勤め人、少なくとも今は学生の胃袋を支えている様なお店では無い様です。長年のご商売故に慣れ過ぎたこともあるのか、かなり疑問のあることも正直目にしました。しかしお店のある角の風景が間もなく変わることはほぼ確実。思い入れのある方、そうでなくても興味が沸いた方、カウントダウンが始まっております。

【店舗データ】すでに営業は終了されています。
天津閣(てんしんかく)
以前の店舗位置 京都市上京区烏丸今出川町下ル

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