よろめき食い道楽記

日々見つけたオイシいもんのことを語ります

両川 [室町押小路]

美味しさも丁寧さも当然の如くいただける至福

【2011年7月夜】
以前お昼に伺った時、私の好みにドンピシャの鯖煮をいただいてから1年以上経ちました。宵山で賑やかな所を少しだけ見て、折角だからとダメもとでコチラを覗いてみました。丁度お客さんが出られたタイミングだったので、お見送りに出ておられた男性スタッフに「今、お席をご用意いたします」と言っていただきました。

お店に入ると、お見送りの方は、若いながらも店長兼料理人、でした。大柄でなかなかに良い男ぶりですが、カチューシャが印象的とはかみさんの弁。ちょっと狭いけど気分の良いテーブル席でメニューを拝見すると、良かったお昼から期待していたのを裏切らない、面白そうなものが色々ありました。

○一嬉の鯖煮
お昼と同じ味を、お酒で楽しめます。
○名物煮込み
じんわりと甘く煮込まれた野菜、非常に優しい感じに仕上がった一品。おでん、とは決して違う、ありそうでコチラだけの銘品です。
○三枚肉の炙り焦がし醤油
甘い豚肉の脂身を香ばしくいただけますが、塩分は実はそれほどではありません。上品な仕上がりなので、日本酒の味もちゃんと楽しめます。
○鮎の一夜干し
祇園祭の時期に用意された時期限定とのことです。一夜干しは自家製、腸は除いてあり意外な脂のこってりが面白いです。サケマスの仲間であることが良くわかる味でした。蓼酢も用意していただけました。
○Ryosenチーズ
日本酒に合う様に作られたという自家製。旨味は強く塩分は抑えめ。まるでなめ味噌の様に作られています。
○自家製ジンジャエール
お酒に疲れたのでオーダーした様です。グラスの底の方に容赦なく溜まるショウガで、飲む前によく混ぜることを強います。一口いただきましたが、気分の良いスッキリな味。甘くないので、肴を楽しみたいけどお酒なしで済ませたい人にピッタリです。
○大人の夜の親子丼
お酒の〆のため、いわゆる「つゆだく」仕上げで卵はトロトロ。
○鶏の温麺
ツルッとした平たい麺が食べやすくて軽い感じですが、鶏だしの温かいおつゆは旨味十分で満足感が得られます。

料理それぞれの量はそれほど大きくありませんが、一品が800円程度の明朗さですので安心していただけます。冷酒と一緒に美味しくいただいた料理、どれもがお酒、というより、お酒を飲む人に用意されている感じです。恐らく店長自身が気に入ったレシピを、お店のメニューにするのを楽しんで居られるのかもしれません。また煮込み、チーズと日本酒をいただきに伺いたいと思います。

*以前のレビュー*
【初訪問:2010年3月昼】
多くのレビュアー様が好評価のこちら、是非一度と思っていましたが、お昼に機会を得て初訪問となりました。お昼は「鯖煮定食 一嬉(Kazuki)」の籏のれんが出ております。ホームページも別のお店の様な感じで表示されますが、夜の食事で使う店名「Ryosen(両川)」の看板が遠くからも一番目立ちます。したがって、お昼もRyosenと考えた方が訪問する時も混乱が無いでしょう。

木製のカウンターとテーブルが趣き深い、小さいながらも素敵な空間の案内人は、言葉少ないけど親切そうなおかあさん、丁寧で明るいおねえさん(お嫁さん?)のお二人。揃いのシャツもばっちり決まり、たっぷりのご馳走と少しの家庭愛を求めたリーマン達のオアシスです。オープンキッチンのカウンター席が5、6席、それに古い洋食店で見かける様な4人がけテーブル2卓。どちらもニスの光る渋い木製で、一見の私でさえ座るだけで心休まる空間です。これは常連様には堪らない場所なのでしょう。

お昼のメニューは、定番の鯖煮定食、日替わり、それに丼もの、で合計三種類あります。

○鯖煮定食(750円)
こちらの定番をまずは試すことにしました。
鯖煮:いわゆる醤油で甘辛く煮た鯖ですが、これが恐ろしく旨いです。これまで食べた鯖の煮物とは違い、味付けはむしろ「にしん棒煮」に近いと感じました。しかし腹の部分などにある独特の脂身の旨さは「鯖」で、スゴいな、と感心しきりでした。
一品:あげ、玉こんにゃくなどの煮物。薄味で甘めに仕上がっています。
生野菜サラダ:ドレッシングも甘く優しい味です。小鉢に別盛りで、ちゃんと野菜が取れます。
みそ汁:白みそ仕立てで、定食用には薄めで上品。しかしだしの味を感じるので満足度もあり心地よい優しさです。特に濃い味付けの鯖煮があるので、ちょうど良いバランスに感じます。
ごはん:結構しっかり盛ってくれますので、満足度は高いです。しば漬が付いていました。

旨いなあ、としみじみ楽しみつつカウンターの中を見ると、お二人の女性は変わらぬ様子で次のお客さんの食事を用意されていました。ご馳走さま、と立つと、向こうから出てこられてお代を受け取る丁寧さです。良質で美味しいお昼ごはん、丁寧な応対を当たり前の様にされているこちら、夜はどんなことになるのでしょうか。こちらのレビューを置き土産にしてくださったひとりめしさんにも謝しつつ、是非再訪問したいと思います。

【店舗データ】
両川 (りょうせん)
075-222-1441
11:30~13:30、18:00~22:45
定休日 日曜日、第一および第三月曜日(ただし祝日の場合は日、月曜日も営業)
京都市中京区室町通押小路西入ル蛸薬師町293
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レビュー(食べログ)