よろめき食い道楽記

日々見つけたオイシいもんのことを語ります

高月 [山科毘沙門堂]

山科の名刹近くにある古民家で蕎麦懐石

*訪問から時間の経っているレビューです。
【初訪問:2012年7月】
山科の毘沙門堂は、天台の門跡寺院として古い歴史を持っており、多くの襖絵などの寺宝や美術品を間近に見られたりする魅力あるところです。特に山際にある境内を囲む森の楓が紅葉する晩秋は、2011年・秋の「そうだ、京都へ行こう」のキャンペーンでポスターになる美しさです。若葉が美しい新緑のシーズンに一人で伺った時の好印象だったので、梅雨が明けた盛夏にかみさんを誘って行きました。山科駅から歩くとかなりの距離ですので、お寺の良さに加えて魅力ある目標をもう一つ。一人の時には伺わなかった、こちらの予約を取りました。

店名が示すとおり、こちらは高台寺近くにあった料亭「馳走高月」の系列です。ただし伺った時(2012年7月)は、料亭は営業休止中。三条神宮道のうどん店「京菜家」も改装のため休業していました。そのためこちらの「お蕎麦を中心にしたおきまり料理」が「高月」の店舗でいただける唯一の食事でした。毘沙門堂の山門に向かって左側に向かう川沿いの道を進むと、一軒家のお店が見えてきます。滋賀から移築したという古民家を改装してありまして、田舎の雰囲気を良く醸し出していました。板間や座敷などにテーブルや座卓が設けられていて、暑い日ながらほぼ満席の状態でした。作務衣姿のスタッフが数人、忙しそうにお料理を運んで居られます。料理は予約時に聞かれましたので、席でお願いするのは飲み物の希望だけです。お値段で二、三種類ありまして、その真ん中のコースです。

○昼のお料理 (3600円)
*よせ豆腐 枝豆とジュンサイ添え
暑い季節の一口目に、冷えた最初の一品が嬉しいです。
*そば湯 
人肌位の温めで、濃いポタージュ状のもの。塩味でいただきます。
*お造り
かんぱち、鯛。魚はまずますでしたが、梅肉醤油でどうぞ、という変化球でした。さらにツマとして小さめに切った夏野菜、当日はトマト、しそ、焼椎茸、長芋、茗荷と充実しており、サラダ風にいただけるのが良かったです。
*蕎麦切
普通のお蕎麦、それに変わり蕎麦とて大根そばの二種盛りです。大根そばは、おろしが練り込まれていて、爽やかな風味とちょっとしゃきっとした口当たりが面白いものでした。少し甘めの、鯛だしのつけつゆでいただきます。おつゆには十分に食べて楽しめる大きさの鯛の切り身が入っていて、薬味は葱と山葵がありました。
*炊合せ
夏らしく冷製で。冬瓜、小芋、絹さや、鱈は表面に治部煮のようなゼリー様のものが付いていました。加えて生湯葉、それに柚味噌でいただく奴豆腐が少し。
*鱧のちらし寿司
長方形の杉の箱入りで、良い木の香りが付いています。鱧、蓮根、錦糸卵、いくら、さやえんどう、海苔で、酒肴にもなるような味付けでした。
*素麺
関西風のうすめのおだしのぶっかけです。具がエビ天、茄子天、湯葉、壬生菜など色々。二度目の麺でほぼ満腹です。
*菓子
出来立てという葛餅。きな粉と胡桃が少し。お茶はそば茶が出されて食事は終わりました。

会計は二人でビール小瓶一本(600円)をいただき、別途消費税がかかって一人4000円ちょっとでした。

古民家を良い感じに設えて食事出来る様にしてありますが、少し席数が多くて手狭に感じたことが残念でした。それにコースの内容の偏り、具体的には麺が二つ、ごはん物が一つが含まれているのはちょと不思議でした。料理のお味は満足しましたので、毘沙門堂近くでは唯一無二のお食事処として利用するのは一案だと思います。

【店舗データ】
高月(こうげつ)
075-501-1989
11:30~14:00、17:00~20:30(14:00~16:30はけんずい(軽いセット)のみ営業)
定休日 月曜日(祝日は営業)
京都市山科区安朱稲荷山町6
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